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円安・ドル高基調の中で個人投資家が円売りを躊躇する理由

円の対ドル相場が、米景気の回復期待や日銀の追加金融緩和を材料に下落基調を強めています。FX取引でも円安・ドル高が進むとの予想が徐々に増えてきましたが、実際に円売り・ドル買いの持ち高を増やす動きは鈍いようです。

外為どっとコム総合研究所が2月中下旬に個人投資家へ今後の円相場の見通しをヒアリングしたところ、「円安」と回答した割合から「円高」と回答した割合を差し引いた円相場の予想指数(DI)が42.9となった。同社が集計を始めた2009年6月以降で最大のプラス幅だ。円安への期待が急速に広がっているというのが個人投資家の見解のようです。

投資家は円が高い水準で売って、下げた局面で買い戻せば利益を得られます。しかしくりっく365の売買状況をみると、円売り・ドル買いの建玉(未決済残高)は目立って増加していないとのこと。

円売りが膨らまないのは、円安のスピードが速いためです。円は2月に入って一本調子で下落している。少しでも円が高い水準で売ろうと反発の場面を待っていた個人は、売り時を逃しているんでしょうか。

また、現在の水準から一段と円安・ドル高が進むか確信を持てないことも一因のようです。昨年夏から1ドル=80円を上回る「超円高」が続いたせいで、円高への不安がなかなか払拭できず、円売りを躊躇しているんでしょうね。

あと、もうすぐ1年がたとうとしている東日本大震災も影響をしているのはないでしょうか。東日本大震災発生後、円が急伸すると、主要7カ国(G7)が協調介入し円を押し下げました。円安基調が続くとみて80~85円程度で円売り・ドル買いの建玉を増やした個人が多かったようですが、実際のところが円相場は予想に反して再び上昇したのは記憶に新しいと思います。

そんなことから、個人は円安を予想しつつも、その波になかなか乗りきれないようです。

(参考:日経新聞)