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低スプレッド競争が加熱する中で約定力にも注意を払うべし

FX業者の実質的な手数料に相当するスプレッド(売値と買値の差)を引き下げる業者が相次いでいます。1年ほど前はドル・円で1ドル当たり1銭前後が主流だったのが、今では0.5銭前後が主流になりつつあります。加熱するスプレッド競争をもう少し詳しく見てみてましょう。

ここ最近で大きな引き下げに動いたのが、GMOクリック証券です。11年12月にドル・円取引のスプレッドを0.8銭から0.5銭に下げ、この2月上旬にさらに値下げして0.4銭とし、ユーロ・円も0.9銭にしました。

レバレッジを効かせて何度も取引するFX中~上級者はスプレッドが少し減るだけでも取引コストが大きな違いが生まれます。

例えば10万ドル(約820万円)を10回取引した場合、スプレッドが1銭なら取引コストは1万円だが、0.4銭なら4,000円に下がり、その差6,000円。これが1ヶ月、1年となると相当大きな差になりますね。

で、話は戻って、GMOクリック証券を追撃したのが、専業大手のマネーパートナーズです。午前9時から翌日の午前3時までの時間限定ではありますが、ドル・円で0.7銭から0.5銭に引き下げました。ユーロ・円は3月末までの期間限定で1.7銭にしています。

こうなると他の業者も追随せざるを得ない状況になります。サイバーエトジェントFXは期間限定でドル・円のスプレッドを0.4銭にしていていましが、3月末までキャンペーンを延長。FXCMジャパン証券もドル円0.6銭と追随しています。

ドル円 ユーロ円 豪ドル円 キャンペーン期間
GMOクリック証券 0.4 0.9 1.4
マネーパートナーズ 0.5 1.9(1.7) 1.9(1.7) 3月末まで
サイバーエージェントFX 0.8(0.4) 1.6(1.4) 1.8(1.4) 3月末まで

※()内はキャンペーン期間中のスプレッド

 

FX業者は大手金融機から通貨を仕入れて、投資家に販売しています。FX業者と金融機関のスプレッドは、ドル・円取引で良くて0.7銭程度と言われており、スプレッド競争の攻防ラインが0.5銭前後に下がると、利益の確保がかなり厳しいと予想されます。

手数料が引き下がることは、もちろん投資家にとっては嬉しいことなのですが、ここまで限界の競争になると単に手数料の比較だけしておけばいい、というわけでもなさそうです。

というのも、低スプレッドの業者が利益を出すには、投資家の売り注文と買い注文を、なるべく多く自社内で相殺(マリー)する必要がでてきます。その分、金融機関から仕入れる必要はなくなり、スプレッドがそのまま利益になるからです。ただ、相場が一方向・に動いて顧客の注文が売りか買いに偏れば、マリーできる比率は下がる。

FX投資家の中には、注文価格と約定価格がずれる「スリッページ」で不公正なレートを強いられているのでは、という声が根強くあります。それを実証すべく、矢野経済研究所が昨年9月に大手10社を対象にした覆面調査では、スリッページ率が10%を超えた業者が6社もあったとか。投資家はスプレッドだけでなく、スリッページにも留意する必要がありそうです。

(参考:日経新聞)